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Study:Osaka Kansai International Art Festival 2022
落合陽一は東京を拠点に活動するメディアアーティストで、デジタルネイチャーに向けて物理的な形態とデジタルの形態の境界を探求しています。
本作品の元となった「借景,波の物象化」は、空中に浮遊する鏡面の彫刻が風景を切り取って回転し、人間の魂と風景の調和と変容を私たちに思い起こさせる作品です。2019年に制作され、チベット仏教のマニ車という仏具と、アジアの庭園にある「借景」のコンセプトから着想を得ています。本作品はこの作品からNFTのために制作された新作シリーズです。
作家は、ボケ具合が大きくなるのが特徴的なオールドレンズとデジタルカメラを用いて、「物質化」したインスタレーションから映像インスタレーションを撮影しています。この過程で、「計算機で生成された物理的な彫刻」を、動きのある視覚的なNFTに再デジタル化しました。デジタルと物質化の輪廻転生を表現し、デジタルネイチャーの風景を調和させる作品群です。
つまり3Dデータから彫刻が制作され、その彫刻からデジタル作品が生成され、そのデジタル作品からさらに新たな平面作品が生み出されます。デジタルと物質の境界を行き来しながら作品形態も経済的にも循環していく円環型の作品です。