Performing
2019
オーケストラの持つ質量について考えていた.
デジタルのもたらす原始的な共感覚化,感覚の変換,音と光と身体性のシナスタジア.
オーケストラが輸入されて90余年,標準化と工業化の末に到来したデジタルの自然は質量を伴う日本の原風景とどうやって融合し,音の持つ感覚の軛と帳をトランスフォームするのか.耳だけでなく,目だけでもない,デジタルは時空間の情報を他の感覚へと変換可能にする.そんな時代にオーケストラを構成する身体と一回性の織りなす集中力を形容する言葉はなんだろうか.それは祈りに近しいのかもしれない.
多様化する感覚とデジタルの持つ原点回帰の中にアナログへの憧憬を探している.日本の風景の中にも日本的美的感覚に接続されたオーケストラやデジタルの風景が存在するはずだ.
一昨年からの日本フィルとの取り組みの中でデジタルが拡張するオーケストラの感覚的な軛と帳からの突破を身体性に求めて探索してきた.その共感覚的な風景を日本の原風景に接続する祈りの場を作りたい.
プラスチック・鉄・農村・自然・工業・鉄道・近代インフラ・電気・マスメディア,石の文化と隔絶された島国に見える美意識はデジタルと融合することでことなる美意識を作り出すのではないだろうか.そういったコンテクストを更新することで音から始まる共感覚の憧憬をデジタルを用いて描き出す.
小山清茂:管弦楽のための木挽歌
マーラー:交響曲第5番 第4楽章《アダージェット》
ドビュッシー:交響詩《海》より第3楽章「風と海との対話」
DEBUSSY: La Mer, trois esquisses symphoniques pour orchestre, III. Dialogue du vent et de la mer
他
藤倉大:Longing from afar (2020)
─ 世界のオーケストラ・プレーヤーとともにー ─
ストラヴィンスキー:組曲《兵士の物語》(1918)
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