Mixed Media
2017
桜, ソメイヨシノに代表される都市構造の中のパブリックメディアであり, バイオ技術を用いて複製された原初のバイオアートとも言える.
桜の表面が拡散スクリーンに見えたとき, それを光を用いたパブリックアートにしていこうと考えた. 2011年の震災の年に発電機とプロジェクターを組み合わせて桜の季節に夜な夜な行なっていた実験的作品, 桜の花が光を拡散して, 光る, 時間性を持ったスクリーンはある季節のある期間にしか存在しない, 本質的に収納性の高い生素材の拡散材だ. 花の拡散モデルと照射される光のモデルのオーバーラップがデジタルネイチャーを示唆している花が咲くこと, 都市の色が変わること, 時間性と空間性の変化を様々な形で我々は表現してきた. 日本庭園にみられる桜や紅葉や苔や植栽生物を使い, 四季の変化と組み合わせ, 動的な表現を, 知覚よりも遥かに遅いフレームレー トの中に仕込んできた. 桜は映像でなく物質だしかし, それは三次元空間の中で, あたかも映像の ようにフレームレートを持ち, 空間に舞い, そして消えてしまう. そんな植物を都市にインストールしていくことは, まるでピクセルやスクリーンのような, 映像と物質の境界を行き来するような, そんな時空間的アート表現を映像が生まれる前から我々は植物を用いて実現してきた. デジタルネイチャーへ向かう世界の中で, そのテクニウムが近代の超克とリンクして現れる.
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