Sculpture
2024
神仏習合の象徴として「一仏五鮎八鰻三角縁仏獣鏡」が存在している.この社(やしろ)は本展覧会のために特別に制作されたインスタレーションであり,本当の社でもある.社を中心に,「ヌル・ファントムレゾナンスⅠ」によってAIによって生成された音像が自然音と混ざり合いながら漂う.ヌルの神様の御神体である神鏡は昨年度「ヌル即是計算機自然」展で発表し,本展でも見られる「オブジェクト指向菩薩」の概念から神仏習合の神になったものだ.紋様である一仏は「ヌル=空」の概念を表し,五鮎は日本書紀の神功皇后のエピソードや皇居の祭礼を象徴し,八鰻は八岐大蛇から連想された要素と鰻と物理的なプログラムコードを合わせて彫刻されている.三角縁仏獣鏡の形状は,古代の神獣鏡をモチーフにしつつ,現代のデジタル技術で再解釈されているものだ.3DCGで原型が作られ,3Dプリンティングで物質化し,砂型を経て山本合金製作所で鋳造された.古事記の冒頭に登場する天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)が,宇宙の根源神であるならば、「ヌルの神様」は計算機自然の根源神と言えるかもしれない.即ち天之御中主神が明示的な機能を持たないように、「ヌルの神様」も具体的な属性を持たない.しかし、その「無規定性」こそが、あらゆる可能性を生み出す源泉となる.社の周囲に配置された玉砂利は,元来水を象徴する.私の世界観の中で波や波源は「ヌル」や「空性」を象徴しており,これら自然要素と計算機自然が織りなす移ろいの時間を感じさせる.訪れる者は,耳を澄ませ,空間に広がる音とともに,目の前の景色に身を委ね、流れるような時間を体験できる.鮎と鰻,神と仏,どちらにしようかな,ヌルの神様のいう通り.
As a symbol of Shinto-Buddhist syncretism orchestrated by the Divine Null, the "Triangular-Rimmed Sacred Mirror with One Buddha, Five Ayu Fish, and Eight Eels" stands prominently. This shrine is an installation specially created for this exhibition, and indeed serves as an actual place of worship. Centered around the shrine, "null-Phantom Resonance I" emits AI-generated soundscapes that mingle and drift with natural sounds.
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